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逆メソッドヨガとポジティブ心理学

本ページは逆メソッドヨガ養成コースのテキストから抜粋したものです。

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100の価値観については下記をご覧ください

元シェイプupガールズの1人である中島史惠さんなどインストラクターの皆様にポジティブ心理学についてお伝えしました。

 

ポジティブ心理学をご存知ですか?

ポジティブ心理学は、ポジティブシンキングやプラス思考と混同されがちです。

ポジティブシンキングやプラス思考は「ポジティブに考えた方がいいよね」という単純な話で科学的な根拠に乏しいですが、ポジティブ心理学は学問であり研究ですので科学的な根拠があるのが特徴です。

そして、ポジティブ心理学ではネガティブな感情も大事だとも言っています。ネガティブ感情があるからこそ、それらを克服する意欲がでてきて成長もできるのです。つまり、ポジティブとネガティブのバランスが重要なのです。最近の研究では、ネガティブ感情に対してポジティブ感情が4倍ほどあると良いとされています。

 

そもそもポジティブとは?

ポジティブというと、前向きで、積極的で、肯定的で、建設的で、笑顔で、楽しく、自分らしく生きるというイメージだと思いますが、実は違います。

ポジティブとは状態を示していて「自分の理念やビジョンや目標に対して疑うことなく確信に満ちて行動している」という状態にあることです。このような状態の人は、結果的に、前向きで、積極的で、肯定的で、建設的で、笑顔で、楽しく、自分らしく生きているので、そのように勘違いしてしまいますが、あくまでも状態であることを理解してください。

 

ポジティブ心理学は科学です

ポジティブ心理学に限らず近代心理学は科学です。心理学というと文系のようなイメージがありますが、実は理系なのです。

ポジティブ心理学は、ポジティブな感情や行動が人生や人間関係や健康面などにどのような影響があるのかを、科学的に理解しようとする学問です。つまり、統計的に解析された実証データがあるのが特徴です。

一方、統計解析がなかった時代のフロイトやアドラーのような心理学は、あくまでも彼らが考えた話なので、その根拠についてはわかりません。つまり、思想や哲学のような話なのです。

「なんとか心理学」と命名されているのでわかりづらいですが、科学的な証拠があるか無いかがポイントです。

 

ポジティブ心理学とは

ポジティブ心理学は、アメリカ心理学会の元会長であるマーティン・セリグマン博士が1998年に提唱した心理学の領域です。セリグマン博士は、これまでの心理学の社会への貢献を認めた上で、これまでの心理学は幸福状態や精神状態がマイナスな状況にある人々をプラスマイナスゼロの状態にするような研究が多く、多くの実績をあげてきたとしました。

しかし、世の中の大多数が幸福状態や精神状態がマイナスな状況にあるわけではなく、元気な時もあれば疲れている時もあるようなプラスマイナスゼロの状態です。このような普通の人が、より働きがいを感じたり、生きがいを感じたり、本当に幸せになるための研究がポジティブ心理学です。

ポジティブ心理学の目的を定めるのは難しいのですが、簡潔に言うと「人生を実りある充実した楽しいものにすることを目指す」ということです。

ポジティブ心理学は実践的な学問として様々な学者が理論体系を作っており、包括的な概念になっていますので、以下のようなキーワードはポジティブ心理学に包括されています。

  • 楽観と悲観
  • フロー
  • 強みと弱み
  • 内発的動機づけ
  • 生きがい
  • 自己決定感
  • 自己効力感
  • ポジティブ感情
  • レジリエンス
  • ウェルビーイング
  • マインドセット
  • エンゲージメント
  • 自己受容
  • 幸福学
  • マインドフルネス
  • アプリシエイティブ・インクワイアリ

ウェルビーイングとハッピー

幸せを英語にするとハッピー(Happy)ですが、語源的にはHappen(起きる)と同じなので、短期的な現象であり、その現象で起きる感情だとも言えます。幸せであるか否かは他人と比べられるか否かであることが多く、地位材と呼ばれる、お金・物品・社会的地位はその典型で、誰かより収入が多くて高価なものを持っていることが認識できると幸せだと感じます。このような幸せは長続きしませんし、比較することで幸せを感じるので、自分より多くのお金や物品を持っている人を見ると、途端に自分は幸せではないと感じてしまうのです。

ウェルビーイング(Well-Being)を日本語に訳すのは難しいのですが、幸福とか豊かという意味です。Beingというのは「あり方」なので、人生のあり方、自分のあり方であるので、何を大事にしている自分でいたいのか、何を大事にして生きたいのかという意味です。

つまり、ウェルビーイングとはあり方が良い(Well)ということですので、感情ではなく状態です。ウェルビーイングであるか否かは、他人と比較しづらく他人の状態とは関係なく得られるものです。こころ・安心・安全・健康はその典型です。しかも、ウェルビーイングはハッピーと違って長続きします。

ハッピー  ウェルビーイング
他人と比べることで得られる幸せ (地位材による幸せ) 他人と比べにくい幸せ (非地位材による幸せ)
お金・物品・社会的地位 こころ・安心・安全・健康
長続きしない幸せ 長続きする幸せ

 

ウェルビーイングであるための5要素「PERMA」

ポジティブ心理学では、ウェルビーイングであるために、Positive Emotion・Engagement・Relationship・Meaning・Accomplishmentの5要素が重要だとしています。

Positive Emotion(ポジティブ感情)

ウェルビーイングであるためにポジティブ感情が必要です。ポジティブ感情とは、愛・喜び・笑い・感謝・愉快・畏敬・希望・安らぎのような感情です。ポジティブ感情があることで、ネガティブ感情を打ち消し、レジリエンス(対処する力や回復力)を高め、思考や行動の選択肢を広げます。ポジティブ心理学の大きな発見の一つは「成功すると幸せになるのではなく、幸せだから成功する」ということです。

ポジティブ感情を持ち、幸せな気分でいると、自分の思考や行動の選択肢を広げて他人に対しても好影響を与えるので、成功に近づくということです。

 

Engagement(没頭や没入)

ウェルビーイングであるためにエンゲージメントが必要です。エンゲージメントとは、時間を忘れて夢中になったり、なにかに集中したりして、自分が没入して集中していることすら気づいていない没頭の状態です。ポジティブ心理学者であるチクセントミハイは、このような状態を「フロー」と呼んでいます。エンゲージすることで、仕事の生産性やパフォーマンスが高まると言われています。

エンゲージは、ヨガ八支則のダーラナー(Dharana)と類似した概念だと言えます。

 

Relationship(豊かな人間関係)

豊かな人間関係は、人生の幸福度に大きな影響を及ぼします。ある看護師が末期患者と接するなかで、末期患者らが口にした後悔の言葉の中に「もっと友達と連絡をとればよかった」というのがあったそうです。前向きに他人と話すこと、他人と自分を比べずに接することが必要だとポジティブ心理学の研究で明らかにされています。ハーバード大学の心理学で75年にもわたる最も長い成人発達に関する研究では「私たちを健康に幸福にするのは 良い人間関係に尽きる」ということが明らかになっています。

 

Meaning(人生の意味や意義)

人生の意味や意義とは、人生で何が大切で、優先することは何かを知って、その活動を増やしていくことで、幸せな状態が向上するという考え方です。また、自分の「強み」を生かしたり、自分より大きな何か(家族や職場や社会、そして自然など)に貢献したりすることで、人生は充実してくるという考え方です。

米国の心理学者で欲求5段階説を唱えたことで有名なアブラハム・マズローは晩年5段階の最上階に6段目があり、自己を超越した自己実現の欲求があると考えました。

この考え方は、悟り・覚醒・ワンネス・真我・ハイヤーセルフと同じで、ヨガ八支則の一つであるサマーディ(Samadhi)に類似した概念だと言えます。

 

Accomplishment(達成、熟達、マスター)

人生において、何かを成し遂げたり、熟達したり、マスターする体験はポジティブ感情やエンゲージメントを生み出してウェルビーイングを高めます。人生で何が大切か、何が重要か、そして優先することは何かを知り、その活動を増やして達成することやマスターすることはとても大切です。

ポジティブ心理学で規定している24の徳性
ポジティブ心理学では、長年の研究によって個人には6つの領域と24の徳性(キャラクターストレングス)があるとしています。この徳性を自分で特定して発揮している時に、人生の充実度や満足度が高まると明らかにしています。

6つの領域 24の徳性
知恵 創造性、好奇心、判断力、向学心、大局観
勇気  勇敢、忍耐力、誠実、熱意
人間性  親切心、愛情、社会的知性
正義 チームワーク、公平性、リーダーシップ
節制 寛容、謙虚、慎重、自己統制
超越性 審美眼、感謝、希望、ユーモア、スピリチュアリティ

 

 ポジティブ心理学の実践方法

ポジティブ心理学では、人生を実りある充実した楽しいものにするために実践することが重要だとしています。以下の4つのワークはウェルビーイングの向上に役立つとされる実践方法ですのでお試しください。

徳性を活用する

全ての人に自分だけの徳性があります。ついつい人は自分に足りないこと、自分にできないこと、自分が持っていないことに着目してしまいますが、まずは自分に足りていること、自分にできること、自分が持っていることに着目することが重要です。自分の徳性を知る診断サイトは、自分の徳性を判断するサイトですので、ぜひ診断して自分の徳性を知ってください。

そして、自分の徳性を知った上で2つのことをしてください。一つ目は、徳性を使って自分の仕事や人生に役立ててください。二つ目は、徳性を使って他人の仕事や人生に役立ててください。二つ目の他人のウェルビーイングの向上に貢献することは、自分のウェルビーイングの向上に大いに役立ちます。

自分の価値観を知って行動する

例として100個の価値観を以下に挙げています。この中から、自分が大切にしたい価値観を6つ選び、選んだ価値観をベースにして自分の家族や友人やパートナーと共に過ごす時間や体験することでウェルビーイングが向上します。

知性 親切 寛容 ルール
意味があること 影響力 お金 家族 活気
可能性 頑固 帰属 競争 協力
義理 芸術 決断 謙虚 健康
権力 貢献 行動 幸福 興奮
公平 効率 個性 孤独 参加
静寂 自己実現 自信 自然 地位
自由 集中 柔軟性 熟練 純粋
正直 承認 自立 信仰心 スピード
進歩 親密さ 信頼 真理 素直
正確 成功 誠実 精神性 成長
専門性 責任 創造性 尊敬 尊厳
助ける 達成感 知恵 知識 秩序
忠実 挑戦 調和 独創性 人間関係
忍耐 熱意 能力 発展
評判 プライド 平和 変化 冒険
本質 名声 優しさ 優越 友情
ユーモア 豊かさ 余裕 喜び 利益
向学心 勇気 大局観 熱意 希望
知性 親切 愉快 学び 革新

 

Three Good Things(感謝ワーク)

寝る前にその日にあった良かったことやありがたいなと思ったことを3つ思い出してください。できれば書き出して下さい。今日は嫌なことばかりで良かったことなんて無かった〜でも良いのです。「今日良かったことってなんかあったか?」と思い出すことが重要です。そして、良いことがあったとしたら、なぜ良かったのか? 誰が何かをしてくれたのか? どんな気分だったのか?を考えてみます。

辛いことや嫌なことがあったとしても、良かったことや感謝することを思い出そうとすることで、辛いことや嫌なことが意味あるように思えたり、受け入れて忘れることで回復を早めたりすることもできます。

 

今に着目する

米国の先進企業が取り入れて効果があったことで多くの方が知ることになったのがマインドフルネスです。ウェルビーイングを高めるために、マインドフルネスな状態になることを心がけることが大切です。マインドフルネス瞑想というのは「やり方」ですが、マインドフルネスは状態です。

過去でも未来でもなく「今、ここ」に集中している状態です。別に座禅を組まなくても、趣味に没頭したり、ランニングするなどして「フロー」な状態で「今、ここ」に集中することが大切です。ヨガ八支則のプラーナヤーマ(Pranayama)は呼吸に集中することなので、ヨガをすることでマインドフルネスな状態を作り出すのはとても有効です。

 

終わりに

ポジティブ心理学の目的である「人生を実りある充実した楽しいものにすることを目指す」というのは、ある意味では自己啓発的で宗教的な気がして、こんなことを学問として科学的に追求すること自体がなんとも不思議な気がします。

しかし、ポジティブ心理学は、多くの科学者や心理学者が真面目に取り組んでいる実践的な学問であり研究ですので、あなたに多くの示唆であったり学びや気づきを与えてくれたりします。

ヨガの哲学と共に、ウェルビーイングな人生を過ごしてください。

 

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