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人は知らずに嘘をつく

前回まで

退職者増加や主体性が無い社員が多いことに悩んだ経営者であるAさんは、会社の課題については自分が十分知っているという理解だが、もしかしたら独りよがりな思いもあるので、やはり社員全員にアンケートをして会社の実情を探ることにした・・・

第6回は、「アンケート調査は危険がいっぱい!だって、人は知らずに嘘をつくから!」についてお伝えします。

当社:ちなみにですね、全社員を対象にしたアンケートをするのは良いのですが、それだと正しく実態を把握できない危険があるんですよ〜。

Aさん:ほうほう、なんで?

当社:アンケートには欠陥があって、商品開発や事実を聞くアンケートは良いのですが、特に組織診断のような個人の主観が多い場合は正しく判断できないのです。

Aさん:ほうほう、というと?

当社:よくパワハラ・セクハラの話ってありますよね?

パワハラ・セクハラってやってる本人は「良かれと思って」、「彼に気づいてもらいたいから」、「単なる冗談」、「コミュニケーションの一種」と思っていて、まさか相手がパワハラ・セクハラだと感じているなんて青天の霹靂なのです。

そんな人は「あなたは部下と良い関係が作れていますか?」という問いに対して「もちろん、YES!」となるのです。

また、僕の経験でもあるのですが、敢えて嘘をつくならまだしも、人は意外と真反対の回答をしてしまうことがあるのです。

例えば、部下思いで他部署の部下のトラブルまで心配したり育成するために色々なことをして常に部下の育成を心がけている自己謙遜が強い部長Aさんがいます。一方、部下から慕われておらず、部下の手柄は自分の手柄、自分の失敗は部下のせい、部下の失敗は俺に恥をかかせたとなるような自信過剰な部長Bさんがいます。

 

そんな部長達に「部下を育成するために様々なアプローチをしていますか?」という問いに対して、自己謙遜のAさんは「僕なんてまだまだ未熟」だと思って、「それほどやっていない」と回答します。

自信過剰のBさんは「もちろん!普通の人以上に俺はやっている」と思って「とってもやっている」と回答します。

 

この回答でAさんBさんを正しく評価できるでしょうか?

 

Aさん:できないだろうな・・・

 

当社:そうです。正しく評価できなくなってしまいます。

 

でも、厄介なのは、AさんBさんは共に嘘をついていないことなのです。

共に「自分はそう思った」のですから・・・。

 

Aさん:うーん・・・

当社:これは認知バイアスと呼ばれるもので、事実は一つでも、それを解釈する人によって真実は異なってしまうのです。

認知バイアスがあるとどんなに気をつけていても事実を事実として回答することは難しいのです。しかも、アンケートをするタイミングによって何かの事象がより鮮明になったり、過去の重要なトピックスが薄れてしまうこともあります。

 

ですので、人材組織の課題発掘や、僕はこう思う、私はこう思うということを回答するアンケートで行う定量調査では本当の実態を明らかにすることは難しいのです。

Aさん:じゃ、どうすれば良いんだ?

当社:それは、個別インタビューをするなど定性調査をすることです。

もちろん、理想的には対象者全員に対して個別インタビューをした方が良いと思いますが、これは統計学的アプローチと同じで、対象者の10〜15%程度で満遍なく組織を代表する平均的なメンバーを対象にしてインタビューをすれば概ね正確なことがわかります。

たまに見かけるのが、アンケートによる定量調査ではほとんど問題がないように見受けられるのですが、心理的な安心の場で行われるインタビューをすると不平不満のオンパレードで、組織としては大問題を抱えていることがわかることです。

アンケートに答える際に、誰かに忖度しているのか、どうでも良いのか、正しく答えるのが怖いのかわかりませんが、明らかに正しく答えていないわけです。

もし、アンケートだけの組織診断だったら、調査レポートには「貴社はどの部門においてもどの年代においても概ね良好です。類似した業種との平均値に近く突出したデータは見当たりません」という結果になり、経営者にとってはひと安心で何も対策をしないわけです。

Aさん:確かに忖度ってあるだろうな。

当社:そんな会社に何が起きるか?

相変わらず、退職者は増えて、主体性のある行動をする社員が増えないという今まで通りの状態が続くわけです。

Aさん:なるほどなー。

でも、アンケートして終わりって会社だったり、アンケートして調査した気になる調査会社とかもいっぱいあるんじゃないか?

当社:はい、残念ながらいっぱいあります(笑)

「アンケートという定量調査で組織がわかります」という人がいたら、人材や組織についてわかっていない、調査の本質がわかっていないということが露呈するってことでしょうね。

Aさん:なるほど、ってことはサンクイットさんは、インタビュー調査もするわけだな。

当社:ここでやらないって言ったら笑えますね(笑)

もちろん、当然やります。

御社の場合は従業員が100名弱なので、インタビューは10〜15名ぐらいで良さそうです。

では、次のステップは、15名の選抜ですね。

 

あと、定量調査のアンケートにも、独自の設問も追加できますが追加したいことありますか?

Aさん:そうだなー、製造業ならではのというか当社ならではの設問もあるといいなー。

 

当社:なるほど、10個や20個の追加設問だと良く無いので、数個であれば大丈夫ですよ。

どんな感じにします?

Aさん:次回まで考えておくよ

当社:承知しました。

お待ちしております!

アンケートのような定量調査だけでは組織の実態がわかりません。実態を掴むためにはインタビュー形式の定性調査が必要です。

定量調査と定性調査の両方を同時にやるので組織の実態がわかります。

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