第13回は、なぜ、会社組織は定期的な診断を受けた方が良いのか?についてお伝えします。
世の中には「因果関係」というものがあります。
原因があれば結果があると言うことです。
マーケティングや商品開発のような調査ではこれまでの論理思考で問題の発生とその要因を単純化させた静的な因果関係モデルとして抽象化することができます。
つまり、ある程度の理論があり、「こうすればこうなる」と言うのが比較的想定できるわけです。
しかし、人材組織においては問題を構成する因子が多く、特に人間の心や感情が左右する要素も多く、その関係が動的に複雑に変化する「複雑系」なので、これまでの論理思考では限界があります。
「なんかわからないど嫌い」、「頭ではわかるけど腹落ちしない」と言うことが普通にあります。
そうなると、人材や組織における課題を解決するにあたって「こうすればこうなる」と言うのがとっても難しいのです。
百の組織があれば百の原因があり、百の解決策があります。
その解決策もズバリ的中して、激変することもあれば、色々な策を講じてもなかなか変化しないこともあります。
だからこそ、人間ですし、人間で構成された組織なのです。
ところで、身体は単純系でしょうか? 複雑系でしょうか?
多くの場合は因果関係があるのでしょうが、例えば、癌になる原因は実に様々で、タバコかもしれませんし、ストレス、体温、食品添加物、遺伝、行動習慣、思考習慣なども考えられますし、単一要素ではなく複数要素が複雑に絡み合って癌が発生しているのかもしれません。
厚生労働省のメタボ健診は、40歳以上が受診対象となっていますが、人間ドックも同様に40歳ともなれば定期的な検査を受けた方が良いとされています。
人間ドックは、身体に異常な症状が出たら受けるものではなく、何の問題もなくても定期的に受けることで症状となる前に病気の原因を掴むことができます。
人間ドックを受けたときに初期の癌を発見して、ことなきを得た方も多くいます。
組織ドックも同様に組織を構成する社員従業員が40名以上になれば定期的に受けた方が良いのです。
組織ドックも、組織における症状(離職者増加やセクショナリズムなど)が出たら受けるものではなく、何の問題もなくても定期的に受けることで、症状が出る前に原因を掴むことができるからです。
組織も人間の体と同じ複雑系ですので、定期的に検査することで思わぬ部分の病巣を発見できることがあります。
社員が一人辞めると言うのは会社組織にとって大きな痛手です。
社員の育成をコストと捉えるのはサンクイット社としては好きな世界観ではありませんが、実際には採用のための費用、育成のための費用がかかっています。
サンクイットは費用ではなく投資だと捉えています。
それらの投資(費用)が一瞬で無駄になります。
社員従業員の育成のために投資して、社員従業員がいつまでも笑顔で前向きに明るく楽しく働ける職場環境を作っていきましょう!
そんな環境を作るのは経営者や組織のリーダーの重要なお仕事です。
組織も人間の体と同じで複雑系システムで、症状は複数要素が複雑な関係において表出します。
ですから、人間ドックを定期的に受けた方が良いのと同様で、組織ドックも定期的に受けた方が良いと言うことです。